2024.06.19

水道業界におけるクラウド型へのシフト

昨今、電気やガスなどでシステムのクラウド化が進んでいますが、水道業界でも「クラウド型」のシステムが注目されています。今回は、水道業界がクラウド型に移行するメリットについて詳しく見ていきましょう。

クラウド型とは?
まず、クラウド型について簡単に説明します。クラウド型とは、データやソフトウェアをインターネット上のサーバーに保管し、必要なときにアクセスできるようにする仕組みです。これにより、自分のパソコンや庁舎内のサーバーに依存せずに、どこからでもデータにアクセスできます。

メリット1:コスト削減
クラウド型システムの最大のメリットの一つはコスト削減です。例えば、水道料金を計算するシステムを導入する場合、従来のオンプレミス型システムでは、自前のハードウェアを設置し、維持管理するための多大なコストがかかります。しかし、クラウド型に移行することで、ハードウェアの購入や維持管理の費用を大幅に削減できます。必要なときに必要なリソースを利用するモデルは、特に予算が限られた公共事業にとって大きなメリットです。

メリット2:データ管理の効率化
水道業界では、利用者の情報や水道利用量データなど大量のデータを扱います。クラウドにデータを集約することで、これらのデータの管理が効率化されます。リアルタイムでデータを更新することはクラウド型に限りませんが、クラウド環境では複数の拠点からのアクセスが容易になり、データの一元管理がしやすくなります。また、アクセス権限を細かく設定できるのはクラウド型特有のメリットではありませんが、クラウドサービスの多くがこれを簡単に設定できる機能を提供しているため、セキュリティ管理が容易です。

メリット3:災害対策
日本は自然災害が多い国です。地震や台風による被害でデータが消失するリスクは常に存在します。しかし、クラウド型を利用すれば、データは遠隔地にあるサーバーにバックアップされるため、災害時でも安心です。データの消失を防ぐことで、迅速な復旧が可能となり、水道サービスの継続が確保されます。

メリット4:拡張性と広域化対応
クラウド型のもう一つの大きなメリットは拡張性と持続性です。人口の増減や都市の拡大に伴い、水道システムの需要も変化します。クラウド型なら、必要に応じてリソースを簡単に増減できるため、柔軟な対応が可能です。

さらに今後広域化が進む場合、クラウド型ではオンプレミス型と異なり、急速な拡大を進めるためのサーバーやストレージを迅速に追加できるメリットがあります。また、クラウドサービスは標準化されたAPIやインターフェースを提供しており、異なるシステム間の連携やデータ統合、データ移行が容易です。各地域のシステムを一元管理しなければならない広域化ではクラウド型が必須といってもいいでしょう。

メリット5:データ活用の可能性
クラウド型を利用することで、データの活用方法が大幅に広がるわけではありませんが、クラウド環境の利便性により、データを容易に共有・統合できます。例えば、スマートメーターなどのIoTを活用し水道メーターのデータをリアルタイムで収集&解析することで、漏水の早期発見や需要予測が可能となります。また、水質データを活用することで、地域ごとの水質管理がより精密に行えます。これにより、利用者に対してより高品質な水を提供することができるのです。

さらに、集められたデータを活用して、Webポータルサイトにて水道利用者の使用量や料金等をリアルタイムで発信することで、水道事業の透明化や業務効率化を図れます。また、ビッグデータ解析やAIを活用すれば、異常検知や予防保全の精度も向上します。クラウド環境ではこれらの高度な解析を迅速に行えるため、従来の手法では難しかった複雑なデータ分析も実現可能です。

最後に
水道業界がクラウド型システムにシフトすることで、コスト削減、データ管理の効率化、災害対策、拡張性と広域化対応の向上、そしてIoTとの連携によるデータ活用の可能性など、多くのメリットが得られます。私たちの生活をより便利で安心なものにしていくことを考えると、このような技術の進化に対応していかねばなりません。